問題を乗り越える
前回は、モーセとイスラエルの人々が、神の力によってエジプトを脱出したところまでをまとめました。神は約束したことを必ず守ってくださる、真実な方であることを学びました。今回は、イスラエルの人々がエジプトを出て、神が与えてくださる祝福された土地に向かう旅路での出来事を、見ていきたいと思います。
イスラエルの人々は、エジプトから脱出した後、様々な問題を乗り越えて、神が約束された良い土地に入っていきます。彼らは直面する困難に対して不満を言ったり、神に素直に従えなかったり、旅は難航するのですが、人々が人間の持つ罪や問題を自覚し、悔い改め神に従うために必要な過程です。

イスラエルの人々の持つ罪は、私たち全ての人間が持つ罪でもあります。彼らの経験を通して、神の祝福を得る方法を学んでいきたいと思います。
今日は、スターバックスのキャラメル&チーズケーキと、コーヒーはケニアです。神に感謝しながら聖書を開いていきたいと思います。
パンを与える神

エジプトを脱出したイスラエルの人々は、神が道しるべとして与えてくださった、昼は雲の柱、夜は火の柱の動きに合わせて、荒野を移動しながら旅をします。
神に従って旅をしているのですが、三日目経っても、水が見つかりませんでした。マラという地にたどり着くと水が見つかりますが、そこの水は苦く飲むことができませんでした。
人々は喉が渇いていたのでしょう。モーセに不満を言うようになります。モーセが神に祈ると、神はモーセに一本の木を示されます。モーセがその木を水に投げ込むと、水は甘くなり飲み水になります。

しばらくすると、イスラエルの人々は旅の疲れもあったのか、今度は食事に対して不満を言うようになります。人々はエジプトで奴隷の労働に耐えられず、神に叫び助けを求めていたにも関わらずに、エジプトでは肉やパンをお腹いっぱい食べられたとか、モーセに、飢え死にさせるためにエジプトから連れ出したのか、と言い出すほどです。
実際は奴隷の身でしたから、そんなにいい食事をしていたのかどうかは疑問です。ストレスのあまり誇張していたかもしれません。人は追い詰められると、ある事もない事も口にしてしまう悲しい性がありますね。
人々に責められているモーセに神は、天からパンを降らせると言われます。パンが降ってきたら、それを毎日必要なだけ集める事、六日目に集める分は翌日の休日の分も含まれているから、七日目はパンを集めに行かずに休むようにと命じます。
七日目は、神が定めた聖なる休日で、「安息日」と呼ばれます。神は人々に、「安息日」にはすべての労働を休むように命じました。神はこのパンによって、イスラエルの人々が神の命令に従うかどうか、神に忠実であるかどうかを試すと言われます。

モーセと兄アロンは、イスラエルの人々を集めて、二人に不満を言うことは、助け出してくださった感謝すべき神に対して、不満を言っているのと同じだと彼らを戒めます。そのとき神は雲を起こして、その中に現れます。そしてモーセを通してイスラエルの人々に、夕方には肉を、朝にはパンを与えると言われます。
神は良いお方
イスラエルの人々は、エジプトにいたころに、神のたくさんの奇跡を見て体験しています。十の災いを見たり、目の前で海が二つに分かれたり、さらにその海の中にできた道を歩いて渡るなど、神の驚くべき力によって救い出されているのですが、問題が起きるとすぐに感謝を忘れ、神に不満をぶつけます。
この罪は全ての人間が持っています。困難な問題が起こると、神を信じているのになぜこんな目にあうのだろう、と思うような時もあります。神を信じて従っているからと言って、問題がすべてなくなるわけではありません。むしろ、起きてくる問題を通して、神に祈り助けをいただきながら乗り越える事で、人は成長していきます。
神に助けられ、神の偉大な力を知ることで、より神を信頼し愛するようになります。神を信頼するほどに祝福は大きくなっていきます。神は、愛するイスラエルの人々を祝福したくて、不満を言う人々であっても見捨てずに、パンを通して訓練します。

神を信頼して、どんな時も不満が出てこないようならいいのですが、実際は困難が大きかったり、長く続くと不安になる事は誰にでもあると思います。
聖書に、「主の良くしてくださったことを何ひとつ忘れるな。」と書かれています。不安や不満が湧いてきたときには、感謝の思いが湧いてくるまで、神がしてくださった良い事を思い起こすようにしたいですね。いつでも神が良い事をしてくださると信じると、神もきっと喜んで祝福してくださるはずです。
マナと安息日
夕方になると、イスラエルの人々のところにたくさんのウズラが飛んでくるようになります。また、朝には彼らのテントの周りに露が下りるようになります。この露が蒸発すると、薄い霜のようなものが現れ、神はこれをイスラエルの人々にパンとして与えられます。このパンは密の入った甘いウェハースのような味だったとあり、その後イスラエルの人々は「マナ」と呼ぶようになります。
神は続けて、このパンをそれぞれ必要な分を家族ごとに取るように命じます。イスラエルの人々はその指示に従いパンを集めます。人々はそれぞれ食べる量に従って、必要な分を取って帰るのですが、多く集めた人も余ることはなく、少なく集めた人も不足することはありませんでした。人々は自分の目分量で集めているのですが、神は全ての人に過不足なくパンを与えています。

モーセは、神に言われた通りに、人々に翌日まで残しておかずに、毎日神の与えるパンを取るように命じます。人々が、神が毎日食事を与えてくださると信頼するようになるためです。ところが中には、聞き従わずに隠し残していた人々がいました。その分は翌朝には虫がついて臭いを放っていました。
神に従わない人々を見てモーセは、怒ってい戒めました。神に従うことを学ばせ、神の祝福を逃さないようにさせるためです。モーセに言われて人々は神に従うようになりますが、朝にパンを集めると、昼頃にはパンは溶けてなくなってしまいました。人々は六日目は翌日の休みの分も合わせて、二日分を集めます。中にはこの休みの分のパンを、煮たり焼いたりして取っておく人もいたようですが、どのパンも、虫がつくことも、臭いを出すこともありませんでした。マナは腐りやすいのではなく、全て神がコントロールされています。
モーセが神の聖なる休日「安息日」にはパンは降ってこないから、保管していた分を食べるように命じるのですが、それでもその言葉を信用せずに、パンを集めに出ていく人々もいました。それを知ったモーセは、何度教えても神を信頼しない人々を、「いつまで神の戒めと教えを拒み続けるのか。神が安息日を与えたことをわきまえなさい。食糧は前日に与えられているのだから、七日目は休みなさい。」と、厳しく指導します。こうしてようやく人々は教えに従って、七日目には休むようになります。

信頼して休む
明日の食糧を心配する気持ちはとてもよくわかります。もしかしたら明日パンを取りに行けないかもしれない、または天気が崩れて野にマナが降らないかもしれない、と心配になる人もいるかもしれません。また蓄えておくと安心、という気持ちも理解できます。他にも、毎日パンを取りに行くのが面倒だからまとめて集めよう、と思う人もいたのだと思います。

現代の私たちに当てはめると、休んだ分は収入が減る、休まずに働けばその分給料が増える、という考え方がわかりやすいかもしれません。
また生産性と迅速性が求められる現代社会では、安心して休めないという経験をした人もいらっしゃると思います。
神の命じる事には、休むことも含まれています。神は人の体を七日毎に休んで、心身を回復させるように造っています。働けば働くほど豊かになり祝福されるのではなく、神が与えた休日という恵みを受けとり、信頼して休むことで体はいやされ、また仕事の成果も与えられます。
職場によっては、日曜日や夜間に勤務しなければならないこともありますが、その分はきちんと休むことが大切です。
聖書には、「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。」と書かれています。神から離れてしまうと、人間は適切に休息をとることもできません。神の命じる休日には感謝して仕事を休みましょう。そしてその時間を少しでもいいので神に捧げてみてください。聖書を読み、神に祈る時間を作ってみてください。特に日曜日に休める時は、神に礼拝を捧げていただきたいと思います。神の言葉に耳を傾け知恵を得るなら、疲れていた心と体が回復するはずです。また働いた分の祝福をちゃんと受けることができます。

また、「何を食べようか何を飲もうかと、自分のいのちのことで心配したり、何を着ようかと、自分の体のことで心配するのはやめなさい。いのちは食べ物以上の物、体は着る物以上のものではありませんか。」とも書かれています。
神は愛する私たち一人ひとりを養うと約束しています。神の子供らしく神に従い、怠ることなければ、神は必要な物をすべて与えてくれます。
地上のすべては神が支配しています。神はイスラエルの人々に、マナと安息日を通して神に従うように訓練されます。命を保つ食糧を神がコントロールしていることを知り、自分の命、生活は全て神が保証してくださることを学ぶためです。
神に従う
実は神は、マラの苦い水を甘く変えて人々に水を与えた時に、モーセを通して、人々に「もしあなたが、あなたの神、主の声に必ず聞き従い、彼の目にかなう正しいことを行い、彼の命令に耳を傾け、すべての掟を守るならば、わたしがエジプト人に下した病をあなたには下さない。わたしはあなたをいやす主である。」と約束されていました。

神は私たちに、神を信頼し従うことを強く望んでいます。聖書に、「自分を見て賢いと思ってはならない、主を恐れて、悪を離れよ。そうすれば、あなたの身を健やかにし、あなたの骨に元気を与える。」と書かれている箇所があります。自分を知恵のある賢い者と思うのは傲慢なのですね。全知全能の神に頼り、神を信頼して従うなら、喜んで祝福してくださいます。
神は愛

神はイスラエルの人々に約束の土地を与え、子々孫々に至るまで祝福を与えるために、完全に神を信頼するように導いていきます。神が人間に命令を与え従わせるのは、私たち人間のためです。神は独裁者ではなく、私たち一人ひとりに良い事をしてくださる、愛の方です。
神はイスラエルの人々に、この神の霊で作られたパンを、毎日の食糧とは別に量り取り、壺に納めて代々保管するように命じます。イスラエルの子孫がその保管された傷まないパンを見て、神の奇跡と祝福を確信するためです。神の祝福の約束は、代々に渡り永遠に続く壮大な祝福です。それは現代の私たちにも続いています。聖書にはたくさんの神の奇跡と祝福と、愛が記されています。その聖書を代々語り継いでいかなければなりませんね。

ここまで読んでくださってありがとうございます。また次の記事でご一緒できることを楽しみにしています。皆さんに、神の守りと祝福があることをお祈りしています。