ヨセフの夢が実現する
前回は、ヤコブの愛息子、ヨセフがエジプトで大臣になったところまでをまとめました。父に溺愛されるヨセフは、兄たちから妬まれ、エジプトに奴隷として売られてしまいます。そのエジプトで、無実の罪で監獄に入れられたりと、困難に見舞われるのですが、神の守りと祝福のおかげで、王の次に権威のある大臣に任命されました。ヨセフは神を信じて、困難を忍耐して乗り越え、祝福を手にしました。

今回は、エジプトの大臣になったヨセフに、少年のころにみた夢が実現していく話です。ヨセフを通して、神の祝福を受ける秘訣を、学んでいきましょう。
今日の私のスイーツは、タリーズの北海道バターミルクビスケットと、チャイミルクティーです。温かく美味しいもので満たされ、ますます神への感謝の思いが湧いてきます。
食糧を求めてエジプトに

ヨセフが王の夢を解き明かしたように、7年間、大地は豊かに実り、充ち溢れました。大臣になって作物の管理を任されたヨセフは、その間に国中の食糧を買い上げ町々に蓄えました。どの倉庫も量れないほどの食糧であふれました。
この豊作の7年の間に、ヨセフに二人の息子が生まれました。長男をマナセ(忘れさせるの意味)、次男をエフライム(増やす)と名付けます。マナセは、神がヨセフの兄弟間のトラブルや困難などを忘れさせてくださったことから、またエフライムは、悩み多い外国暮らしでも、子孫を増やしてくださったとの、神への感謝を表す名前です。神は、辛い過去を癒し、忘れさせてくださる方です。

エジプトでの7年の大豊作が終わると、7年の飢饉が始まりました。飢饉は世界各地に及んだとあります。エジプトの国民の間でも飢饉が広がると、王の指示によって、ヨセフから食糧が売られるようになります。飢饉はあらゆる国でひどくなり、エジプトだけでなく各国の人々が食糧を求めて、ヨセフのもとにやってくるようになります。
そのころ、ヨセフの家族も飢饉に苦しんでいました。父ヤコブは、息子たちをエジプトに食糧を買いに使わします。ヨセフを失って哀しんでいる父ヤコブは、ヨセフの弟の、末息子ベニヤミンだけは手放せないと、同行させずに家に残します。
兄たちがエジプトにたどり着くと、エジプトの大臣として穀物の販売を監督していたヨセフは、兄たちにすぐに気づきます。敬礼する兄たちにヨセフは自分の身を明かさず、厳しい口調と態度で接します。兄たちはエジプト人の衣服をまとい、立派な大臣になったヨセフに気が付きません。ヨセフの見た最初の夢、「兄たちの作物の束がヨセフの作物の束にひれ伏す。」の通りになっています。
ヨセフは兄たちを尋問しながら、父の様子、弟ベニヤミンの様子などを聞き出します。兄たちはヨセフと知らずに、丁寧に質問に答え、食糧を求めます。
しかしヨセフはすぐに再会を喜ぶのではなく、兄たちをエジプトを探りに来たスパイと疑いをかけ、彼らの様子を探ります。兄たちは必死で疑いを晴らそうとします。しかしヨセフはそれを聞き入れずに、スパイでないのなら弟のベニヤミンを一緒に連れてくるように、と言い放ちます。ベニヤミンは、唯一ヨセフと同じ母ラケルから生まれた弟です。ヨセフは、兄の1人シメオンを人質に取り、他の兄たちは、弟ベニヤミンを連れてくるようにと故郷に帰します。

兄たちは、この予想もしていなかった事態を通して、かつて弟ヨセフにした自分たちの悪事をひどく悔やみます。弟を激しく憎み殺そうとしたり、エジプトに奴隷として売り飛ばしたり、また、ヨセフを溺愛する父を苦しめた事の報いが降りかかっているのだと嘆きます。
兄たちが故郷に戻り父ヤコブにエジプトでの事をすべて話すと、ヤコブは、最愛の息子ヨセフを失った上に、シメオンが人質になり、さらに末息子ベニヤミンを要求されていると知り、ひどく悲嘆します。
しかも買って帰ってきたはずの穀物の中に、支払った分の銀貨がそっくり返されいます。このままではスパイだけでなく、泥棒の容疑までかけられてしまうと、うろたえてしまいます。これもヨセフが彼らの誠実さを試そうと、銀貨を返していたのです。
罪を認める
飢饉はひどくなっていき、食糧がなくなりそうになったので、息子たちは父ヤコブを説得して、末息子のベニヤミンを連れて、再度エジプトに食糧を買いに行きます。
彼らがエジプトに到着すると、それを見たヨセフは、部下たちにすぐに宴会の用意をさせ兄弟たちを招きます。ヨセフの家に招かれた兄弟たちは、すべて取り上げられて、奴隷にされるのだと思っていました。スパイや泥棒の容疑を晴らそうと、前回受け取られていなかった銀貨、また父ヤコブの計らいで持ってきた、たくさんの高価な贈り物を差し出します。
ヨセフは、兄たちの銀貨を受け取らずに、彼らに宴会の昼食をふるまいました。弟ベニヤミンを愛おしく思うヨセフは、ベニヤミンに兄たちの5倍以上のご馳走をします。兄弟たちは、殺されるか、奴隷にされるかと不安を覚えながらも、共に食事をします。
翌日、兄弟たちは買った食糧を持って帰る際に、ヨセフは再度、食糧袋の中に銀貨を返しておきます。また、弟ベニヤミンの袋には、ヨセフの使う銀の杯を一緒に入れます。
翌日、兄弟たちが故郷に戻るためにエジプトを出発すると、ヨセフは部下を送り、彼らの食糧袋の中身を調べさせます。部下たちは食糧袋の中から、食糧代の銀貨を見つけ、また弟のベニヤミンの袋の中から、ヨセフの銀の杯を取り出します。ヨセフが兄弟たちを試すために入れていたものです。
どんなに誠意を尽くしても、スパイや泥棒の容疑を晴らせない彼らは、仕方なく奴隷になる事を申し出るのですが、ヨセフは、末息子のベニヤミンだけを奴隷として人質にすると言います。

末弟ベニヤミンを連れ帰らなければ、父ヤコブは死んでしまうほどに苦しむことがわかっています。兄たちは窮地に追い込まれます。
ヨセフの兄たちに対する仕打ちは、過去に兄たちから受けた苦しみの仕返しのように見えます。ですが、この後わかるのですが、ヨセフはこれまで自分の身に起きたことは、神のご計画であったと理解しており、兄弟たちに、憎んでいないと告白しています。
ヨセフのしたことは仕返しではなく、神がヨセフを用いて、兄たちに罪の大きさを示し、悔い改めを促すためです。
人は自分の罪悪感から逃れることはできません。神は人の心に罪を悔やむ心を与えています。周りの人々が何気なくしたこと、言ったことを通して、自分の犯した罪を思い起こすことがあります。神はこの罪悪感を用いて、自分の罪を悔いて、神に赦しを求めることを願っています。
どんな罪でも、悔い改めて神に告白するなら、神は豊かに赦してくださいます。すべてのことに赦す権威を持っているのは神だけです。神が赦してくださるなら、罪悪感が取り除かれ自由になります。罪によって起きていた問題が解決されます。
またもっとも必要な赦しは、イエスキリストが自分の罪のために、十字架刑という罰を受けてくださったことを受け入れ信じる事です。イエスキリストを信じるなら、私たちの魂は、天の国に帰ることができます。
ヨセフと兄弟の再会
兄たちは、どれほど父ヤコブが末息子ベニヤミンを愛しているか、ベニヤミンを失った父の苦しみに耐えられないと、ヨセフに弟の釈放を懇願します。家族の愛に触れたヨセフは、こらえていた思いを隠し切れなくなり、ついに泣きながら、自分が兄弟のヨセフであることを明かします。

ヨセフが生きていて、エジプトで大臣になっているなど夢にも思わない兄弟たちは、驚きのあまり言葉になりません。ヨセフは、兄たちがした仕打ちを恨んでいないといって、兄たちとの再会を喜びます。
ヨセフに起きたことは、ヨセフと家族を飢饉から救うために、あらかじめヨセフをエジプトに送っていた、という神の計画だったと説明します。神は兄弟の中からヨセフを選び、予知夢を与え、また夢を解き明かす力を与えていました。
ヨセフには、あと5年飢饉が続くことがわかっていたため、兄たちに父ヤコブを連れてエジプトに移住するように勧めます。ヨセフに絶大な信頼を寄せているエジプトの王も役人も、みなヨセフの家族のこと喜び、最良の土地、食糧、衣服、財産を用意し、一家を迎え入れます。今持っている財産以上のものを与える、というほどに歓迎しました。
神の計画と約束
愛息子ヨセフが生きていることを聞いた父ヤコブは、喜びにあふれ、家族みんなでエジプトに向かいます。ヤコブはエジプトに向かう途中、神に礼拝を捧げます。この場所は、ヤコブがかつて、兄に命を狙われ叔父ラバンのもとに逃亡する際に、天使のはしごの夢をみた場所です。ヤコブはこの、神が祝福を約束してくださった場所で、ヨセフに再会できる事、飢饉から救い出してくださった事など、すべての神の業に感謝をささげています。

その夜、ヤコブに神の語りかけの声がありました。「わたしは神、あなたの父の神だ。エジプトへ行くのを恐れてはならない。大きな国になるよう、あなたを守ろう。わたしもいっしょにエジプトへ下り、時がきたら、あなたの子孫を再びここに連れ帰る。あなたはエジプトで、ヨセフに看取られながら死ぬだろう。」
神の約束は必ず実現します。神は節目節目でヤコブに現れ、アブラハムから語られている祝福をいつも確信させてくださいます。もちろんヤコブが、愛息子ヨセフと離れ離れになったり、老年になるまで待たされたりと苦悩も多くありますが、神の計画は変わりません。どんな時も、神に信頼し従うことが、神の祝福を受け取る近道です。
ヤコブが礼拝を捧げると、神はヤコブに現れて語りかけています。神を自分の造り主と認めて礼拝をささげると、神も近づいてくださり、より神の語りかけがわかるようになります。神の言葉によって、進むべき道が示されると、迷いがなくなります。
父ヤコブと愛息子ヨセフの再会
一家がエジプトに到着すると、ヨセフはすぐに駆け付け、父ヤコブを出迎えます。「こうしておまえの顔を見られるとは、夢にも思わなかった。無事でほんとうによかった。もう思い残すことはない。これで安心して死ねる。」と、父ヤコブは、ヨセフと泣いて抱き合います。

ヨセフは神から与えられた優れた知恵を用いて、エジプトの王ファラオから、最良の土地を与えてもらうように計らいます。羊飼いを職業とするヤコブ一家は、エジプト人の居住地とは離れ、家畜の食糧がよく実る豊かな土地に住むことになります。そこはラメセスという地方で、一番良い土地であったと書かれています。ヨセフの家族を含め、総勢70名になった一家を、ヨセフは食糧を与えて養います。
またエジプト人と離れて暮らすことで、唯一本物の神以外の、偽物の神が入り込まずにすみます。神は後に、イエスキリストをおくってくださる神だけです。イエスキリスト以外の神を神とすることは大きな罪です。ヤコブ一家は、外国の偽物の神から守られ、本物の神からの祝福を受けていきます。
ヨセフは、エジプトの大臣として国民と家族を、飢饉から守り活躍します。ヨセフの権威によって一家は祝福され、異国の地であっても幸せに暮らしていきます。
老年を迎えた父ヤコブは、彼の孫にあたるヨセフの息子二人を、神の名前によって祝福します。孫たちを通して、子孫が増え広がり、アブラハムから約束されている祝福を受け継ぐと宣言します。
その後ヤコブは神の約束通り、愛する息子ヨセフに看取られ最後を迎えます。ヨセフは、父から受けた遺言通りに、父ヤコブを異国エジプトではなく、神が与えた祖国カナンに、先祖とともに葬ります。
涙をぬぐってくださる神

ヤコブ、ヨセフの生涯には苦難ありましたが、神に守られ祝福されました。ヨセフは、長男の息子に、「神は苦しみを忘れさせてくださった。」という意味の、マナセとつけたほどです。
聖書にある言葉です。「主なる神は、すべての顔から涙をぬぐい、ご自身の民の恥を地上からぬぐい去ってくださる。これは主が語られた事である。イザヤ25:8」
ヤコブにも、ヨセフにも、この神の約束が実現していたのだと思います。神は、彼を癒し、祝福を与えられました。神以外に、過去のすべての苦しみを忘れさせる力のある人や物があるでしょうか。
傷ついたことも、恥ずかしい思いをしたこともない人はいないと思います。神にすべての苦しみを癒していただけたら、恥が取り去られたら、どれほど人生が楽になるでしょうか。この偉大な神の癒しと恵みを受けて、喜びにあふれた毎日を手にできたら素晴らしいですね。
すべての人の造り主である神は、一人ひとりを愛してくださり、神のもとに帰ってくることを願っています。聖書をとおして神の愛に気づき、神の祝福を受けていただきたいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございます。また次の記事でご一緒できることを楽しみにしています。皆さんに、神の守りと祝福があることをお祈りしています。