民数記③祝福のイスラエル

長引いた旅

前回は、民数記の中盤、モーセの罪メリバ事件を中心にまとめました。罪を犯した人々は、約束の土地カナンを目の前にしながらも、土地に入ることはできず、荒野に四十年とどまることになってしまいました。神を信頼せずに、不満ばかりを訴える不信の罪によって、人々は裁きを受けてしまいました。

今回は、民数記の後半部分をまとめたいと思います。今日のお供のブランチは、アメリカンブレックファーストです。卵はサニーサイドアップ、ソーセージとハッシュドブラウン、ビスケットとブラウングレイビーソースです。神の恵みにこころから感謝します。









戦いに勝利する

イスラエルの人々は神に導かれ旅を続けます。途中、アモリ人が支配する領土を通る許可をとろうと、王シホンのところに使者を送ります。アモリ人の畑やぶどう畑にも入らず、井戸の水も飲まないので、ただ通過させてほしいと頼むのですが、王シホンは許可せずに、かえって軍隊を招集しイスラエルの人々と戦う備えをします。

イスラエルの人々は、迎え撃ってきたアモン人と戦い大勝利を収めます。王を剣にかけ、アモン人の全ての町を攻め取り、その町に住むようになります。

続いてイスラエルの人々は、バシャンの国の王オグと戦います。神はモーセを通して、戦いの勝利を約束してくださいます。神の力によってイスラエルの人々は勝利を収め、バシャンの国を占領します。

イスラエルの人々はエジプトから脱出した後、アマレク人と戦い勝利した経験がありますが、今回の戦いでは、ほとんどが世代変わりして、戦いの経験のない人々がほとんどでした。イスラエルの人々は、これから、神が約束された土地カナンに入る際に、カナンに住む人々と戦わなければなりません。神は、イスラエルの人々に勝利の経験を通して勢いをつけさせようと、シホンとオグの戦いに勝利をさせてくださいました。

神は、祝福を掴み取るために必要な経験をさせてくださいます。

恐れる王バラク

モアブ国の王:バラク   ユーフラテス川流域に住む占い師:バラム

イスラエルの人々は旅を続け、ヨルダン川の向かい側のモアブという平野に到着し、そこに宿をおろします。その土地のモアブの王バラクは、イスラエルの人々を見て恐れました。王バラクは、イスラエルの人々が、アモリ人の王シホンと、バシャンの王オグと戦って、圧倒的な勝利を収めたことを知っていたため、彼らがモアブの国を攻め取りに来たのだと思い、恐れます。

王バラクは、イスラエルの人々に勝てるはずがないと恐れ、わざわざユーフラテス流域に住む占い師バラムのもとに使者を送り、助けを求めます。王バラクは、占い師バラムに報酬の品々を用意し、イスラエルの人々を呪うように頼みます。イスラエルの人々が呪われれば、モアブの王バラクが戦いに勝利し、モアブを攻め取られずにすむと考えたのです。

占い師バラムは、訪ねてきたモアブの使者たちを滞在させ、モアブの願いを聞き入れるべきかどうか、神に祈り尋ねます。神は占い師バラムに対して、「あなたは彼らと一緒に行ってはならない。この民を呪ってはならない。彼らは祝福されているからだ。」と告げます。

朝になると占い師バラムは、モアブの使者たちに神に言われた通りを告げて、彼らをモアブの国に帰します。この報告を受けた王バラクは、諦めるどころか今度はもっと位の高い使者たちを遣わして、より手厚い報酬を持って、バラムに呪いをかけてほしいと頼みます。

占い師バラムは、どんなに金銀を積まれても、神に逆らうことはできないと断りながらも、彼らを今度も滞在させて、再度神に祈り尋ねます。バラムに、「これらの者があなたを呼びに来たのなら、立って彼らと共に行くがよい。しかし、わたしがあなたに告げることだけを行わねばならない。」と言われます。

翌朝バラムはロバに乗り、モアブの使者たちと共にモアブに向かいます。

バラムの罪とロバ

ところが、バラムが出発すると、神の怒りが燃え上がります。神の使いである天使が、抜き身の剣を手にして、バラムの前に立ちふさがります。バラムを乗せたロバはそれを見ると、道をそれて畑に入り込みます。神の天使が見えていないバラムは、様子のおかしいロバを打って、道に戻そうとします。

ですが、神の天使が立ちふさがっているため、ロバは道に戻れずに、そばにある石垣にバラムの足と一緒に体を押し付けます。バラムはロバを打ち続けるのですが、ロバはそのままうずくまってしまいます。

怒ったラムがロバを杖で打つと、ロバは口を開き、「わたしがあなたに何をしたというのですか。三度もわたしを打つとは。」と話しだします。

その時、神がバラムの目を開いたため、バラムは神の天使が剣を持って立ちふさがっているのを目にします。そこでようやくバラムは自分の間違いを認めひれ伏し、モアブの王バラクの元へは行かずに、引き返すと宣言します。

バラムは、どんなに報酬を積まれても神に背くことはしない、と口では言っていたのですが、その心は、モアブの金銀にありました。バラムはモアブの使者たちを自分の家に滞在させ、神に祈り求めながらも、心の中ではモアブの報酬を値踏みし、モアブの国に行くことを望んでいました。バラムの企みを、神は全てご存知でした。神はまるで、報酬に目がくらんだバラムに呆れるように、許可を出されたのです。

神を選び取る

神は、私たち人間一人ひとりに意志を与え、自由に選び取る権利を与えています。神は私たちを愛するゆえに、無理強いや強制はせずに、自由を与えています。

ですが、人間の選ぶことが害を及ぼすような悪い事であるなら、神は必ず裁かれます。また、神が望んでいることに反する方を選ぶと、神の祝福が受けられないために、上手くいかなくなってしまいます。

占い師バラムの場合は、バラムがモアブの王のもとに行く前に神が介入されたために、大きな問題にはなりませんでしたが、自我を押し通すことなく、神に従うことが祝福を受ける秘訣なのだと教えてくれます。

報酬目当ての欲深い罪を悔い改めた占い師バラムは、引き返そうとするのですが、神はバラムに、モアブに行き、ただ神が告げる事だけを伝えるように命じます。神は、バラムの罪を用いて、イスラエルの人々を祝福されます。

占い師バラムがモアブに到着すると、モアブの王バラクが手厚く出迎えて、牛や羊を贈ります。そして朝になると、王バラクは、バラムを連れてイスラエルの人々が見渡せる場所に上ります。バラムはモアブの王バラクに、祭壇と捧げ物の雄牛と雄羊を用意させ、それらを神に捧げます。すると神は占い師バラムを通して、神の言葉を告げます。

神は、モアブの王バラクが頼んだ呪いの言葉を、祝福の言葉に変えてしまいます。祝福を口にした占い師バラムは、神が呪いをかけぬものに呪いをかけられるはずがないと、王バラクを諭します。

神は、イスラエルの先祖アブラハムをとおして、「あなたを祝福するものを祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上の全ての民族は、あなたによって祝福される。」と約束されています。イスラエルの人々を呪うことは初めから無理なのです。

ですが、神がイスラエルの人々を祝福することを知らないモアブの王バラクは、呪いを祝福に変えた占い師バラムを責め立てます。そして場所を変えれば呪えるのではないかと思い、イスラエル全体が見渡せる場所に、占い師バラムを連れて移動します。再度イスラエルの人々を呪うように頼むのですが、そこでもまた占い師バラムは「神の祝福されたものを、取り消すことはできない。」と、イスラエルの人々を祝福します。

変えられない神の計画

モアブの王バラクは、二度もイスラエルの人々を呪えなかったのですが、それでもあきらめずに三度目に挑戦します。占い師バラムを連れて、荒野を見下ろせる頂に上り、イスラエルを呪うように頼みます。占い師バラムは、神がイスラエルを祝福することを知りながら、再度、祭壇と雄牛雄羊を用意させ、神に捧げます。

占い師バラムがイスラエルの人々に目を向けると、神の霊がバラムに入り、バラムはイスラエルを祝福しはじめます。イスラエルを祝福する言葉を宣べ続け、最後は「あなたを祝福する者は祝福され、あなたを呪う者は呪われる。」と締めくくります。

これを聞いた、モアブの王バラクは激しく怒り、占い師バラムをののしり、報酬を取り消します。そんな王バラクに対して、占い師バラムは、後にモアブの国が滅ぼされると警告をします。神の約束通り、イスラエルの人々を呪うモアブは呪われてしまいます。

占い師バラムは、「たとえバラクが、家に満ちる金銀を贈ってくれても、主の言葉に逆らっては、全にしろ悪にしろ、わたしの心のままにすることはできません。わたしは、主が告げられることを告げるだけです。」と告白して去って行きます。

占い師バラムは、初めにモアブの王バラクが手厚い報酬を提示してきたときは、口先だけで神に従うと言いながら、心はモアブの金銀に向いていました。

ですが、神のイスラエルに対する祝福を変えることはできないと悟り、占い師バラムの心も変えられています。どんなに財宝を与えられても、神に背くなら、むしろ災いを招くだけだと学んだのです。

神の祝福を受けるためには、神のご計画に従い、神に喜ばれる心を持つことです。

二度目の人口調査

モアブの王バラクの呪いから守られたイスラエルの人々ですが、彼らはモアブの土地の女性たちと交流を持ち始め、性的な罪を犯し、またモアブの人々の信じる偽物の神バアルを拝むようになっていきます。イスラエルの人々を祝福し、イエスキリストを送ってくださる、唯一真の神以外の偽物の神を信じることは、ゆるされないことです。

神は、モーセを通して罪を犯した人々を処罰するように命じます。この命令がイスラエルの人々の中に布告され、罪を犯した人々は次々と罰を受けていきます。この神の神罰によって二万四千人が亡くなります。

神の神罰によって罪を犯した人々が取り除かれると、神はイスラエルの人々の人口調査を命じます。兵役に就くことのできる二十歳以上の男子を把握するためです。イスラエルの人々は、神の約束された土地に入る際に、その地のカナン人と戦わなければなりません。神は軍隊を招集する備えを命じます。全ての部族の調査が終わると、登録された者は総計、六十万一千七百三十人になりました。

この人口調査は、イスラエルの人々がエジプトを脱出してから二回目になります。人数でいうと、一度目の六十万三千五十五人から、千八百二十人減っています。

これは、神の約束の土地カナンを恐れて罪を犯した人々が亡くなり、またイスラエルの人々が荒野を四十年とどまっている間に、罪を犯した人々が神罰を受けたためです。

イスラエルの人々が約束の土地カナンを偵察に行ったとき、神を信頼してカナンの土地を攻め取ろうと言ったカレブとヨシュア以外の人々は皆、荒野で人生の幕を閉じています。

そして、メリバで神の指示に背いて、岩を二回杖で打ってしまったモーセも、その罪のために約束の土地カナンには入れません。この後モーセは、後継者として偵察隊の一人ヨシュアを指導者に任命します。

祝福は目の前に

民数記は、イスラエルの人々が、荒野で旅をしながら、神を信じ従う訓練を受けているところが記録されています。神から与えられた律法を守り行う訓練、また水や食料に対する不安を感じたときに、神を信頼して待つ訓練です。

ですが、人々は困難に会うとすぐに神を忘れ、不満をぶつけてしまいます。また、神の約束された豊かな良い土地を目の前にしても、強そうな土地の住人を恐れ、神の約束を信頼せずに、逃げ帰ろうとしてしまいます。彼らは、神への不従順から祝福を逃してしまいました。

これは現代の私たちも同じことです。神を信じ従うことが祝福とわかっていても、できない事もあります。水や食料が無くなればすぐに不安になるでしょうし、カナンの土地の住人のように巨大な人々を目の前にすれば、恐れて逃げたくなると思います。またモアブの王バラクの報酬に目がくらんだ占い師バラムのように、口では神に従うと言っていても、心は自我や欲望に支配されていることがあるのです。

自我を捨てて神に従うことができれば、祝福を受けることができると教えてくれます。

神はいつでも私たち一人ひとりを愛し、祝福したいと思っておられます。自分の力で取り除けない自我は、神に祈り助けていただき、神に喜ばれる心を養っていけたらと思います。共に神の祝福に与る者になりたいですね。

ここまで読んでくださってありがとうございます。また次の記事でご一緒できることを楽しみにしています。皆さんに、神の守りと祝福があることをお祈りしています。

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